現金にも管理が必要?学校法人における現金の管理方法を説明します。
この記事のポイント
  1. 現金出納帳を作成する
  2. 現金を数えて金種表を作成する

現金出納帳

 現金は日々受払いがあるので現金出納帳を作成します。現金出納帳とは現金の日々の増減を記録するもので、いわゆるお小遣い帳のようなものを作成します。

 この現金出納帳により日付ごとに現金の増加と減少を管理します。

作成例
金種表作成例

現金の管理について

 現金は願書の配布時期のように、頻繁に増加するときもありますが、願書配布時期以外でも受払いはあるため、少なからず手許に存在しています。しかし現金は印があるわけではなく持ち出すことが容易であり、不正が行われることもあるため、管理が必要となります。

 現金は日々受払いがあるため、毎日就業時間後に現金を数え、金種表を作成します。その際は担当者一人で数えることになると思いますが、少なくとも週に一度は別の担当者(できれば数える担当者より上位の職)が確認をするといった対応をとる必要があります。
 また、数えた結果は帳簿と突き合わせる必要があります。これも毎日とは言いませんが、ある程度の間隔で突き合わせます。

 もし現金が帳簿の金額と異なっている場合はその違いについて原因を究明する必要があります。
数え間違いや別の担当者が受払いしたものについて連絡が来なかった場合もありますが、不正による原因もありますので、慎重に原因をしらべます。

 原因がわかるものでも頻繁に起こる場合は、改善が必要になりますし、原因不明の増減が頻繁に起こる場合は注意が必要になります。

 金種表作成例
金種表作成例

日々の現金有り高

 それでは、日々の現金の有り高はいくらくらいが適切なのでしょうか。

 学校や学校の種類(大学、専門学校、幼稚園など)によって異なりますし、銀行が閉まってから受け取ることもあるでしょうが、いたずらに多額の現金を学校に置いておくことは好ましくありません

 多額の現金を受け取った場合はできるだけ早めに銀行に預ける、月末の経費精算や多額の現金支払いが多い場合はその必要な分だけ銀行から下ろしてくる、というような必要以上に現金を残さない方法が望ましいでしょう。

 期末の現金については経理規程で決定されている場合もあります。決まっていれば決まっている金額にそろえる必要があります。決まっている金額が過度に大きい場合は経理規程を変えることも視野に入れるべきでしょう。

現金を保管しておく場所

 現金は日々の業務にあたって小さな金庫に入れて受払いしますが、終業時間になり事務室を閉める際は、小さい金庫を鍵のかかる大きい金庫に入れて保管します。

 鍵のかかるキャビネットや机の引き出しにこともありますが、盗難防止のためにも大きい金庫があるなら大きい金庫に入れて保管します。

 その金庫の鍵は担当する部や課の長(総務部長(総務課長)など)が保管し、部長が休みの際には他の者(副部長など)が開けられるようにし、鍵を持つ者を増やさないことが必要になります。部や課の長は朝出勤して大きい金庫を開け、現金を取り出し、日々の業務を行います。そして終業時間に小さい金庫を大きい金庫にしまって退勤します。

監査を受けている学校

 監査を受けている学校は4月1日または4月1日より後に会計士が現金を数えに来校します。これを実査と言います。

 詳細なやり方は会計士から指示があると思いますが、4月1日に実査を行うときは実査が行われる時間まで現金が増減しないことが望まれます。

 4月1日より後に実査が行われる場合は4月1日から、実査が行われた日までの現金の増減を会計士が確認するので、会計ソフト等に仕訳入力しなくても、現金出納帳は作成しておきますくことが望まれます

 また、会計士が現金の増減を確認する際は増減の領収書や請求書を見ることがあるので、これも用意しておくとよいでしょう。

 実査の際は大きい金庫の中を見せてもらいたい、と会計士から依頼される場合があります。この金庫の中に簿外の現金(帳簿に記載されていない現金)があると会計士は嫌がるので、簿外現金は無いようにします。これは、一時的に金庫から撤去するのではなく、そもそも帳簿に記載されていない現金が存在しないように適切な処理を行う必要があります。
 
やむを得ず簿外現金となる場合(経費精算のための現金について、会計上出金処理したが、経費を支払った者が受取に来なかった場合など)は会計士に状況を説明し、根拠を示しまします。