学校の内部統制と内部統制を構築する目的とは
内部統制を構築する目的は4つ
  1. 業務の有効性と効率性
  2. 財務報告の信頼性
  3. 事業活動に関わる法令等の遵守
  4. 資産の保全

内部統制を構築する目的

内部統制とは基本的に、1.業務の有効性及び効率性、2.財務報告の信頼性、3.事業活動に関わる法令等の遵守及び、4.資産の保全、の4つの目的を達成するために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスのことをいいます。

1.業務の有効性及び効率性

業務の有効性とは、事業活動や業務の目的が達成される程度をいい、業務の効率性とは、組織が目的を達成しようとする際に、時間、人員、コスト等の組織内外の資源が利用される割合を言います。

業務の有効性は、時間、人員、コスト等の組織内外の資源を利用すれば利用するほど事業活動や業務の目的が達成される可能性が高まりますが、業務の効率性については、時間、人員、コスト等の組織内外の資源の利用割合が増加していくため、業務の効率性は悪化します。

このため、業務の有効性及び効率性は、一般的に二律背反の関係にあり、時間、人員、コスト等の組織内外の資源を効果的かつ効率的に配分することが、内部統制の重要な観点となります。

例えば、人数をかけてチェック機能の充実させることにより、業務の有効性を充実させようとした場合、チェックを行う人員の増加やシステム等の新規導入等の組織内外の資源の利用割合が増加し、効率性は悪化してしまいます。

有効性と効率性は二律背反の関係

2.財務報告の信頼性

財務報告の信頼性とは、財務諸表及び財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある情報に関して、重要な誤りがないことを確保することを言います。

財務報告は、法人の内外の者が当該法人の活動を確認する上で、極めて重要な情報であり、財務報告の信頼性を確保することは、法人に対する社会的な信用の維持・向上に資することになります。
また、財務報告に重要な誤りがある場合には、多くの利害関係者に対して不測の損害を与えるだけでなく、法人に対する信頼を著しく失墜させることになります。

例えば、金融機関においては、法人の財務報告に基づき信用の審査等を行うため、財務報告に重要な誤りが存在する場合、契約上問題となり、最悪の場合では資金貸借契約が解約となることがあります。

3.事業活動にかかわる法令等の順守

事業活動に関わる法令等の遵守とは、法人に所属する者や組織に対して事業活動に関わる法令その他の規範の遵守を促進することを言います。

法人を取り巻く環境では、法令等の遵守への真摯な取組みが認知された場合には、組織の評判や社会的信用の向上を通じて、法人に対する社会的な信用の維持・向上に資することとなると考えられます。一方で、法令の遵守がなされず、
また、社会規範を無視した行動が行われた場合、それに応じた罰則、批判を受け、法人の評判を大幅に低下させ組織の存続すら危うくしかねない可能性があります。

例えば、法人に所属する者が社会的通念上の非違行為(反社会的勢力との交際やパワーハラスメント、残業代の未払い等)を行い、それが社会に報道されてしまうと、法人のコンプライアンスの欠如として認識され、法人の評判を著しく落としてしまう結果となり、ひいては謝罪会見等を行う必要性まである可能性があります。
また、昨今ではSMSサービスの台頭により、爆発的に法人の評判が広まっていく傾向にあるため、よりコンプライアンスの対応が必要となります。一方で、非違行為が行われたとしても法人として適切な対応が行われた場合には、評判を落とすことなく、評価されるようなことも事例として発生しています。

コンプライアンス違反

4.資産の保全

資産の保全とは、資産の取得、使用及び処分が正当な手続及び承認の下に行われるよう、資産の保全を図ることをいいます。
法人においては、出資者等から財産の拠出等を受けて活動している場合、法人はこれを適切に保全する責任を負っており、資産の取得、使用及び処分に係る不正又は誤謬を防止するため、資産が正当な手続及び承認の下に取得、使用及び処分される体制を整備することが求められます。また、正当な手続及び承認の下に取得、使用及び処分が行われていない場合には、すみやかに発見して対応を図る体制を整備し、運用することが求められます。

資産が不正に又は誤って取得、使用及び処分された場合、組織の財産や社会的信用に大きな損害や影響を与える可能性があります。また、法人の役員の中には、法令上、業務及び財産の状況の調査をすることが必要な者がおり、法人の資産の保全に対して重要な役割・責任を担っています。

例えば、法人の財産が勝手に購入されて私的利用されたり、勝手に処分されてその売却代金が着服されたりしてしまうと、法人に多大な損害を与えることとなってしまいます。また、法人の管理状況が適切ではないことが外部に知られてしまうと、法人の管理体制が適切ではないとの評判が立ってしまい、金融機関等から借入を行う際にそのことを指摘されてしまう可能性があります。