学校法人における未払金の会計処理を解説します
この記事のポイント
  1. 未払金の期首期末の処理
  2. 監査を受けている学校法人は確認状を発送する場合がある

 

未払金とは

未払金は、契約書や請求書で学校法人が支払うことが決まっているが、お金を支払っていないものです。

経費の未払いの場合、固定資産を購入した際にその一部又は全部が未払の場合、給料が月をまたいで支払われる場合(25日締め、翌月10日払い)などに生じます。

期中は現金主義で行って未払金を計上しないケースが多いですが、年度末は未払金を計上します。

学校法人会計では未払費用も未払金として処理します。

企業会計では未払金と未払費用は区別して処理しますが、学校法人会計では区別はしません。これは、未払「費用」は企業会計のように損益計算を目的として計上するものですが、学校会計では基本的には損益計算は主目的ではなく、現在いくら未払い(債務)があるかを把握するため、未払費用も未払「金」として計上することになります。

未払金の管理方法

 未払金は期中に計上しなくても毎月の支払時期を把握しておく必要があります。

これは資金がショートする可能性があるためです。このため、毎月支払があるものと臨時的なもののについていつ支払期日が来るかを一覧表等で管理します。

 また年度末の未払金を支払った場合にはその未払金を忘れずに消し込みます。

未払金管理表の例
未払金管理表の例

年度末の処理

 年度末には全ての未払金を計上することになります。

この際、取引先から届いた請求書を基に計上します。計上するのは継続的なものについては「3月分」と書かれたもの、継続的ではないものについては請求書の日付が年度内(3月31日まで)のものを計上します。

それではいつまで届いた請求書を取り込むべきでしょうか。

原則としては3月分や3月中の日付の請求書は全て取り込むことになります。

しかし決算作業を早期に行うと、決算を終わった後に3月分や3月中の日付来ることもあります。

これを全て取り込むことにするといつまでたっても決算が終わらないことになります。

このためある程度で区切ってしまうのが良いと思います。例としては4月25日までに到着した請求書は計上する、等です。

また、請求書が来なくてもあらかじめわかっているものについては請求書が来なくても未払金計上します。

例えば契約書で支払がわかっているものやクレジットカードで支払ったもの(利用履歴をネットで確認して3月中に利用したものを取り込む)などは未払金として計上します。

水道光熱費も請求書が来るのがまちまちですが、12か月分計上されていれば問題ないと思われます。

日付を区切る場合で契約書でもあらかじめわからない場合でも金額が大きい請求書が後からきたなら、それは計上するのが良いと思われます。

 

監査を受けている学校法人

 監査を受けている学校では監査の期間中までに到着した契約書を会計士が借りて未払金として計上すべきものが取り込まれているか、未払金として計上すべきでないものが計上未払金として計上されていないか、を確認することがあります。

このため、監査期間中までに到着した請求書については別に除けておくと資料がスムーズに会計士に提供できます。この際は来年度の請求書に関しても提供する必要があります。

 また、未払金に関しては取引先である債権者に対して確認状を発送することがあります。

これは会計士が債権者に直接問い合わせて未払金(相手からは未収金だったり、売掛金だったりします)の金額について回答を入手するものです。

確認状自体は学校法人で作成しますが、フォームについては会計士が提供してくれるので、そのフォームに相手先の住所等を記入して(最近はワードやエクセルでもらえることが多いです)作成し会計士に渡します。