
- 学校法人の会計・税務では把握しておかなければならない論点が3つあります
- いずれも学校法人特有の論点ですが、後日大問題に発展しかねない論点です
- 理事・監事・経理責任者は事前に適切な対応を行うことが求められます
受注できる学校法人への税務業務についてまとめたページです。ブログを読んで業務依頼をお考えの方はご覧ください。
学校法人の会計や税務には、ここが崩れると後々大問題になる論点が3つあります。
日常の経理実務の現場では、担当者が多忙のため、あまり深く考えられておらず、また理事・監事・経理責任者としては、担当者がやっていると思っているため気にも留めていない論点です。
しかし、実際の経理現場では、結構行われていないことが多いので、貴学校法人でどういう扱いになっているか、理事・監事・経理責任者が先頭に立って一度整理してみるといいでしょう。
学校法人の会計・税務の注意点
学校法人の会計・税務の注意点は大きく分けると次の3つに分類されます。
- 非営利法人であるために生じる税務上の注意点
- 内部統制の不備に係る会計・税務上の注意点
- 周辺会計から生じる会計上の注意点
非営利法人であるために生じる税務上の注意点
学校法人は非営利法人に分類されます。
非営利法人は一般法人とは違い営利を目的としていないため、税務上、様々な非課税制度などの優遇措置が設けられています。
しかし、税務上の非課税制度などの優遇措置は適用要件があり、すべての学校法人が一律に受けられるものではありません。
例えば、法人税であれば、教育研究事業に関しては非課税ですが、収益事業に関しては、学校法人が行うものでも課税になります。
よって、貴学校法人で税務上の非課税制度などの優遇措置をどこまで利用できるか検討することが必要になります。
昨今、学校法人の脱税に関しては、社会的関心も高く、教育機関のとしてのブランドが傷つくと回復することが非常に困難なケースもありますので、税務上の非課税制度の適用範囲は慎重に検討すべきでしょう。
内部統制の不備に係る会計・税務上の注意点
学校法人の経理は学校会計基準に準拠して行われますが、企業会計基準に比べて非常に難解で煩雑です。
また、学校法人の税制についても、非営利法人特有の非課税制度などの優遇措置があり非常に難解で複雑になっています。
会計・税務ともに制度が非常に難解で複雑なため、内容を分かっている一部の担当者(経理や人事の担当者)に判断を委ねることになり、形式上は上席者のダブルチェック等の内部統制は存在しているものの、事実上は担当者のシングルチェックになっていて学校法人内で内部統制が崩壊している場合が非常に多いです。
また、学校法人の場合、学内で会計・税務に関する事実関係や判断の情報が共有されていないことが多く、担当者が移動や退職した場合に、状況や内容を理解している者が誰もいなくなる状況も発生しやすいです。
このような状況では、一部の内容を把握している担当者などの横領などの不正事例も通常より多いと考えられ、好ましくない状況です。
しかし、それ以上に重大な問題は、経理処理や税務処理の適用誤りや判断誤りがその時点では認識されず、後々時限爆弾のように大爆発する可能性が高いことでしょう。
会計処理のミスによる所轄庁への報告や税務調査で多額な更生を求めらる事態は、貴法人のブランドイメージを傷つける可能性のある事象です。
一般事業会社より内部統制の不備が起きやすいことを把握しておき、担当者の退職などで不正・誤謬のリスクが高まる可能性が高いことを理事・監事・経理責任者は必ず理解しておくべきでしょう。
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周辺会計から生じる会計上の注意点
周辺会計には、生徒会・後援会・PTA・同窓会などがありますが、独自の規程や会則に従い自律的に運営されているのならば、学校法人とは別個独立した団体と考えられます。
それ故、学校法人と直接関係がないことを理由に学内では、会計処理や経理管理体制について一切関与していないこともあります。
しかし、周辺会計に関して、なにか問題があれば、学校法人事体も関与者とみなされ、管理責任を問われ、ブランドイメージに傷がつく可能性がありますので、貴学校法人から一定の関与をする必要があることに留意する必要があります。
①周辺会計の経理担当者の業務に対する誠実性の把握・②通帳や印鑑の管理状況の把握・③支出の決裁書、請求書、帳簿の突合せの状況把握などがきちんと行われているかが非常に大切なので、定期的に周辺会計で確認が行われているかを貴学校法人でチェックする体制を整えましょう。
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