立替金、前払金、仮払金の違いを徹底解説
この記事のポイント
  1. 前払金の内容
  2. 立替金とは?
  3. 仮払金は期末に残さない

 

学校法人会計におけるその他の資産

 この記事ではその他の資産について説明します。この記事でいうその他の資産は比較的重要ではない(比較的発生することが少ない)経過勘定等で未収入金は含めません。

前払金

 前払金とはお金は払っているものの役務提供が行われていないものをいいます。

企業会計では前払金(前渡金)と前払費用は区別しますが、学校法人会計では前払費用と前払金区別しません。前払費用と前払金を区別しないのは、前払「費用」は企業会計のように損益計算を目的として計上するものであって学校会計では基本的には損益計算を目的としないので、現在いくらの前払(債権)があるか、ということで前払「金」として計上するためです。

 前払金は賃貸借契約、保険契約等で発生することが多いですが、保険金の前払の場合、何年にもわたることがあるので、管理が必要になってきます。

このため金額があまり大きくない場合は、管理との関係から前払金としないで、支払った年度の経費にしてしまうことも一つの方法です。

前払金の説明図表

立替金

 立替金は学校法人が立替えているお金で、学校法人が経費について立替えてもらっているものではありません。(学校が立替えてもらっている経費は、未払金となります)。

 立替金が発生するのは先生や職員の費用等を払ってあげた場合で、先生や職員が負担すべき費用を学校が代わりに支払って、あとから(給料天引きなどで)支払ってもらいます。

立替金説明図表

仮払金

 仮払金は学校法人が仮に支払資金を支払っておくもので、立替金とは異なり、支払はあったものの、内容が一切不明の場合に仮払金を用いて仕訳を入力します。

期中は仮払金として処理しても、期末は内容を把握してその勘定に振替え、基本的には仮払金として貸借対照表に計上することはありません。

仮払金説明図表 借入金とは

前払金、立替金、仮払金の違い

 前払金、立替金、仮払金はいずれもすでにお金(支払資金)を支払済みで、いずれも資産に当たりますが、解消時にどうなるかが異なります。

 前払金は、お金(支払資金)は支払っているが、役務提供が行われていないもので、役務提供が行われたときに、費用や(固定資産の手付の場合は)資産になります。

 立替金は学校が立替えているものだから、立替えた相手からお金をもらったときに解消します。費用や資産になることはありません。

 仮払金はとりあえず支払ったお金で、内容が判明した時点で解消し、前払金や立替金に振替えます。内容がわからないため(内容がわかった時点で)前払金になるものを仮払金としている場合もありますし、(内容がわかった時点で)立替金になるものを仮払金としている場合もあり、解消時にどの勘定になるかは不明となります。

 

管理方法

 前払金は長期にわたることもあるため、何年度まで解消しないのかを把握しておく必要があります。このため管理表を作成して管理するのが望ましいことになります。

前払金管理表

 立替金は通常複数年度にわたることは少ないですが、立替先が多い場合は、誰に(どの相手先に)いくら立替えているかについての管理表を作成するのが望ましいことになります。

 仮払金はどの相手にいくら支払ったかは把握しておく必要がありますが、内容がわかった時点で速やかに他の勘定に振替える、または精算の仕訳を入力して、できるだけ仮払金にしておかないことが望ましいです。
また、仮払金は期中で大きい金額が、小さな金額でも繰り返し個人に払い出されていて、解消されていない場合や、期末時点で0になっていても払い出された金額が全て未収入金等の科目に振替えるだけになっている場合など、不正を行う際に用いられることもあるので、注意が必要となります。