
- 消費税は売上等に係る消費税の預り金額 - 仕入や経費にかかった消費税の支払い金額で計算されます。
- 不課税収入とは①対価性のない収入で、②学校法人が受け取る収入のことです。
- 特定収入とは①不課税収入に該当する収入のうち、②その収入の使途が課税支出に使われてしまう収入のことです。
- 特定収入は不課税収入であり、収入時に消費税を預かっていないため、差し引ける仕入・経費に係る消費税の金額も調整する必要があります。
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消費税の計算方法
学校法人の消費税は、4月1日~3月31日の1年間の売上等に係る消費税の預り金額から、仕入や経費にかかった消費税の支払い金額を差し引いて税務署に納付することになります。
消費税額 = 売上等に係る消費税の預り金額 - 仕入や経費にかかった消費税の支払い金額
例えば、学校法人で公開講座を開いた場合、その公開講座から得た収入の中には消費税が含まれており、一方で公開講座で使用する教材のために大量のコピーをした場合、支払ったコピー代金の中にも消費税が含まれています。
学校法人は公開講座の実施にあたり売上とともに預かった消費税から公開講座を行うために支払った経費に係る消費税を差し引いて、税務署に納税することになります。
売上等に伴い預かる消費税について
学校法人の場合、売上等に伴い消費税を預かる機会は非常に稀です。
学校法人の売上等は、生徒から貰う授業料、OBや後援会等から貰う寄付金、国・地方公共団体から貰う補助金等であり、売上等の大部分には消費税が含まれていません。
学校法人の売上等の中で消費税が含まれるのは、建物を売却した場合・公開講座を開いた場合・駐車場を貸し付けた場合・教室を貸し付けた場合など限定的です。

差し引ける仕入・経費に係る消費税について
学校法人の場合、消費税が含まれている売上等が限定的なことに伴い、仕入・経費に付随して支払った消費税のうち預かった消費税から差し引ける金額も限定的になります。
例えば、年間のコピー代金から生じる支払消費税が100万円であったとしても、大半が生徒の授業用の教材のコピーであり、公開講座のためのコピーは1%に過ぎなかった場合、100万円×1%=1万円しか預かった消費税から差し引けないことになります。

不課税収入と特定収入について
以上の説明を踏まえて今回のメインテーマである特定収入について解説するのですが、特定収入を理解してもらうためにはまず不課税収入を理解する必要があります。
不課税収入とは①対価性のない収入で、②学校法人が受け取る収入のことです。
対価性とは第三者になにかサービスの提供を行わなくてもお金がもらえることをいいます。
次に本題の特定収入ですが、特定収入とは不課税収入に該当する収入のうち、その収入の使途が課税支出に使われてしまう収入のことをいいます。
例えば、補助金をもらって、その補助金で消耗品を購入した場合です。
補助金は国・地方公共団体等になにかサービスをしなくてももらえるお金なので、不課税売上になります。
さらに、その補助金から消耗品を購入した場合、消耗品の値段の中には、消費税が含まれているので課税支出に使われています。
よって、この補助金は特定収入になります。

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特定収入の消費税の取り扱い
特定収入の代表例は、寄付金・補助金ですが、もともと不課税収入のため売上等に伴い預かる消費税額はありません。
そうすると、もともと消費税を預かっていないため、その収入を基に仕入・経費の支払いを行い、支払った金額の中に消費税が含まれていたとしてもその金額は差し引けないことになります。
よって、消費税の計算を行う上で、差し引ける仕入・経費に係る消費税の金額を調整することになります。
- 以下の場合の消費税額を計算してください。
売上等により預かっている消費税100円
仕入・経費に係る消費税額50円(うち寄付金で買った消耗品に係る消費税10円) - 解答:支払う消費税額は60円になります。
解説:売上等により預かっている消費税 100円 - (仕入・経費に係る消費税額 50円 - 寄付金で買った消耗品に係る消費税 10円) = 60円
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