
- 誠実性および倫理観
- 最高責任者の意向および姿勢
- 経営方針および経営戦略
- 理事会および監事の有する機能
- 組織構造および慣行
- 権限および職責
- 人的資源に対する方針と管理
受注できる学校法人へのコンサル業務をまとめたページです。ブログを読んで業務依頼をお考えの方はご覧ください。
統制環境の概要
統制環境とは、組織の気風等を決定し、組織内のすべての者の統制に対する意識に影響を与えるとともに、他の基本的要素の基礎をなし、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリングおよびITへの対応に影響を及ぼす基盤をいいます。統制環境は、他の基本的要素の基盤となる最も重要な基本的要素であるため、統制環境が一番重要な内部統制の構成要素となります。
特に最高責任者の意向や姿勢を反映したものとなることが多く、組織が保有する価値基準や基本的な制度等は、組織独自の意識や行動を規定し、組織内の者の内部統制に対する考え方に影響を与えます。

誠実性および倫理観
誠実性および倫理観は、組織の気風を決める重要な要素であり、組織内のすべての者や組織外の関係する者の社会道徳上の意識に重要な影響を与えるものです。
例えば、組織内の基本方針や理念が適切に倫理規定や行動指針等に文書化され、それが組織内の者に周知徹底されることにより、内部統制を構成するすべての者の意識向上が図られ、また、組織外の者であっても、ある程度内部統制の意識がある者が対応するようになり、円滑な取引環境となります。一方で、そのような精神的な基盤となるものがないと、組織内の者や組織外の者の意識が低くなり、資産の流用等の不正の温床となる可能性が高くなります。

最高責任者の意向および姿勢
最高責任者の意向および姿勢は、組織の気風に重要な影響を与える要素であり、組織が保有する価値基準や基本的な制度等に大きな影響をおよぼします。また、組織の内外に示す声明、日常の行動、予算・人事等の方針の決定などは、組織内の者の意識を通して組織の内部統制に影響をおよぼします。特に、社訓や社是、経営理念、倫理規程、行動指針等に文書化され、直接的又は間接的に明示されることで、組織の内部統制の基盤が示されます。
例えば、最高責任者が法令遵守等の意向を組織内および組織外に文書等で明示的に示し、また最高責任者が行動や姿勢を暗に示すことで、組織内の者や組織外の者の意識の向上が図れ、内部統制の有効性が図れます。一方で、最高責任者の意向や姿勢が規程や規則から逸脱したものであり、内部統制を軽視するようなものである場合、組織内の者や組織外の者の意識も内部統制を軽視するようになります。

経営方針および経営戦略
組織全体の目的を達成するために、経営方針および経営戦略を策定し、その要素が価値基準や基本的な制度等に落とし込まれ、組織内の者の価値基準に大きな影響を与え、また、組織内の各業務への資源配分を決定する要因となります。このため、経営方針及び経営戦略に基づく組織全体の目的は、年度別、部門別等の予算、事業計画等を通して分解・具体化され、管理されることとなり、そこに内部統制も含まれることになります。
例えば、経営管理に注力し、必要な情報を適宜適切に入手できるようにしたり、不正や誤謬が発生するのを防ごうとしたりする経営方針および経営戦略を取る場合には、管理部門や内部監査部門の機能を充実させることになります。一方で、経営管理を軽視し、不正や誤謬が発生したとしても大した問題ではないとする経営方針および経営戦略を取る場合には、管理部門や内部監査部門の機能を縮小させることになります。

理事会および監事の有する機能
理事会及び監事は、理事の業務を監督する職責を負う機関であり、個々の法人に設けられる制度です。組織運営に重要な事項や特定の利害関係者が絡む事項について、独断で業務が遂行され、組織に不測の損害を与えることがないように、理事や組織内の者の業務を監督し、組織全体のモニタリングが有効に機能しているかを判断する機関の一つです。
例えば、校舎の新設の際に、適切な業者を選定しているかといった、法人にとって重要な事項について、理事の独断や担当者の裁量により決定せず、相見積等を取り、それに基づき合議が図られているかといった、組織の運営に重要な決定事項に関するプロセスを有している必要があります。

組織構造および慣行
組織構造は、組織の目的に適合し、事業活動を管理する上で必要な情報の流れを提供できるものとなっていることが重要であり、組織の情報と伝達の有効性を確保し、組織の目的を達成するために重要な事項です。
また、組織の慣行は、規程等で明文化されていない事項について検討する際の組織内における行動の善悪についての判断指針となるものであり、精神的な組織の基盤となるものです。
例えば、組織内に問題が発生した際にその原因が該当部門の部門長であり、報告するラインがその部門長のみとなっている場合には、指摘しにくい組織構造となっていると言えます。また、組織内に問題が発生するリスクが発生した際に、問題として発現しなければ報告しないとするような慣行が組織に蔓延している場合には、適時適切な報告が阻まれ、結果的に他の内部統制である統制活動、情報と伝達、モニタリングの有効性等に重大な悪影響を及ぼすことになります。

権限および職責
権限とは、組織の目的を達成するために付与された権利のことを指し、職責とは、組織の目的を達成するために実施すべき活動を遂行する責任ないし義務のことをいいます。各部門では、権限と職責が事業活動の目的に適合された形で付与され、部門内において適切な者に割り当てられることとなります。
例えば、経理部の権限と職責は、法人の経理および財務に関わる全ての業務とした場合、当該業務を遂行するための会計帳簿作成および出納等に関連する権限とその職責を付与し、経理部内の人員で当該権限と職責を細分化して付与していくことになります。

人的資源に対する方針と管理
人的資源とは、組織の経営資源のうち人材に関するもののことを言います。人的資源に対する方針とは、雇用、昇進、給与、研修等の人事に関する方針を定めることであり、経営上の一つの方針として運用されていきます。特に、組織の保有する人的資源の能力を高度に引き出していくことで、組織の目的を達成することが容易になっていくため、人的資源に対する方針が適切に定められていることが、経営上重要になります。
例えば、適切な部署の適切な人員に対して有効な研修を行うことで、組織に所属する人材の能力を向上させることにより、組織の目的を達成することを容易にするとともに、当該人材を適切に評価することにより、組織からの離脱を防ぐことが可能となります。一方で、研修が適切に行われず、もしくは、不適切な人材に不適合な研修を行ったとしても、人材の能力を向上させることは出来ず、組織の目的を達成することを容易にはできません。また、人材の適切な評価が行われない場合、組織からの離脱が増加し、組織自体が立ち行かなくなるリスクがあります。

受注できる学校法人へのコンサル業務をまとめたページです。ブログを読んで業務依頼をお考えの方はご覧ください。