有価証券の会計処理について説明します
この記事のポイント
  1. 学校法人会計において有価証券は取得原価で評価
  2. 時価が著しく低くなった場合とは

有価証券とは

 有価証券とは金融商品取引法第2条にあるもので、株券、国債、社債等をいいます。

学校法人会計基準には直接範囲について触れられていませんが、「有価証券の会計処理等に関するQ&A」(学校法人委員会研究報告第29号 公認会計士協会 最終改正平成 26年7月 29日)において学校法人会計での有価証券の範囲は金融証券取引法第2条と同様に解釈するのが適当、とされています。

購入時売却時の処理

購入時

有価証券を購入した場合は通常手数料がかかります。この手数料は取得原価に含めます。これは企業会計と同様に対価に附随費用(手数料など)を含めたものを取得原価とします。

債券を額面金額と異なる金額で取得した場合

 債券を額面金額より高い又は低い価額で学校法人が取得した場合、償却原価法による価額を貸借対照表価額とします。

償却原価法は債券金額と取得価額が異なる場合に、その差額について償還期まで毎年度一定の方法で取得原価に加減する方法です。

 この差額は一般的に金利調整差額であるとされ、加減額は受取利息として処理します。

売却時

有価証券を売却した場合も手数料がかかりますが、この手数料は有価証券売却収入に含めずに(管理)経費として処理します。

期末の評価

有価証券は期末において、取得原価で評価します。

ただし、有価証券の時価が取得原価と比較して著しく低い場合は、回復可能と認められる場合を除き時価で評価します。

企業会計では保有目的によって時価評価するかしないかが決まりますが、学校会計では保有目的とは関係なく、取得原価で評価し、著しく時価が低くなった場合は時価評価を行います。

著しく低くなった場合とは

 それでは著しく時価が低くなった場合とはどのような場合でしょうか。

 これについて「「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成について(通知)」 に関する実務指針」(学校法人委員会実務指針第 45 号 平成 26 年1月 14 日 日本公認会計士協会)に記載があります。

時価が取得原価に比べて50%以上低下した場合は「著しく低くなった場合」として合理的理由がない限り評価減を行います。

 下落率が30%以上50%未満の場合は、学校法人が「著しく低くなった場合」に当たるかを判断し、「著しく低くなった場合」になった場合は評価減を行います。

 下落率が30%未満の場合は通常、「著しく低くなった場合」には該当しません。

時価が著しく低くなった場合とは

特定資産と評価減

 基本金の対象になる特定資産について有価証券を含めることがあります。

 この有価証券について評価減を行った場合はどうするのでしょうか。

 計画を変更しない場合は基本金見合いの財産(特定資産)が減少しているため、他の資産で充当する必要があります。

 一方で、計画を変更して基本金を減額させる場合には充当は行われないことになります。

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 有価証券のうち、特定資産とされた有価証券は特定資産に計上します。

 特定資産に含まれないもののうち、長期に保有する有価証券は固定資産に、短期に保有する有価証券は流動資産に計上します。この長期短期は1年を超えて保有する場合は長期、1年以内は短期とします。

 また、債券のうち、1年以内に償還されるものは流動資産に計上します。